事業用定期借地契約を行うためには
公正証書で締結しなければ
正式な借地権は発生しません。

実務で言いますと、ほとんどのケースでは
一旦通常の契約を締結し、その後行政から
建築等の許可を得たのちに公正証書にする
という流れとなります。

契約をしてから公正証書になるまでの
間は、厳密にいうと借地権は発生していません。
しかし、もし契約を反故にしようとすれば
損害賠償の問題は付きまとうと思います。
(判例がないのでなんとも言えませんが)

さて、公正証書は公証人が契約書をチェック
した上で修正して製本するものです。
公証人は司法関係者の天下り(元裁判官や元法務省官僚など)なので
公正証書は法令上すべての問題はクリアされたものと
思われる方もいらっしゃるかもしれません。

断じて言います。そんなことはありません。

明らかに法令に違反している条項が修正されなかったり、
グレー(判例がない)な条項もそのままなことも
多くあります。

公証人だってその人その人で価値観や法令解釈が
違いますし、公正証書の作成など数が非常に多いので
見逃すことも多分にあります。

なので〇〇公証人では指摘を受けた公正証書の文案が、
△△公証人では指摘を受けなかった、などの事例は多くあります。

例えば、敷地内に道路を挟んでいる場合。
それを一体で利用するという契約が妥当かどうかは
公証人によります。
多くの場合、赤道(1mくらいの認定外道路)くらいなら
道路を挟んでもOKですが、
NGな公証人もいれば、6m道路を挟んだ駐車場までを
含めて事業用定期借地契約となると、NGな公証人が
多いと思います。

しかし、敷地と敷地の間が数十m以上離れた土地まで
一体不可分な土地として契約をOKとした公証人も
いると聞きます。

こういう契約はいかがなものかと個人的に思います。
その場合は土地にも事業用定期借地権の設定を
しておいた方が無難だと思います。

借地契約はお互いの意向をしっかり酌まないと、
売買より問題を抱えることもあります。

公正証書遺言でも同じですが、
公正証書なら完璧、ということはありません。
判例がある事例なら見通しやすいですが、
なければ裁判をしてみないと分からないことが
世の中には多くあるものです。