農地の売買

農地を農地として買うには許可が必要です。

これを農地法3条許可といいます。

 

農地を宅地化する目的で買うには

市街化区域なら農地法5条届出、

市街化区域以外なら農地法5条許可が

必要です。

 

最近、ある市町村の調整区域の農地の

売却の依頼を受け、買主を探しているので

すが、県道沿いで土地もまとまった大きさで

あることから2名の方から買いたいという

お問合せをいただきました。

2名とも将来的には宅地化することが

目的だったようです。

 

しかし、お二方ともすぐに宅地化できなさ

そうなので、3条許可で農地を農地として

買うという意志を表明されました。

(2名ともすでに農地をかなりお持ちの方

でした。)

 

そのうちの1名の方から3条の許可が

出るかどうか、市町村へ相談に行きたい

ので同行してほしいと希望されたため、

その相談に同行いたしました。

 

窓口の担当者から「農地法3条許可を得たい

ということですが、どうしてこの農地を

取得したいのですか?」と問われた際、

その買い希望者様はあまりに正直に

「将来この土地は有望で宅地化

できそうだから」と答えてしましました。

 

同行していた私は呆れました。

農地法3条許可がもらえるか相談に行ったという

ことは、農地を農地として買いたいという

相談のはずです。

 

その相談中にその市町村の農業委員会事務局

(優良農地を守ることが彼らの使命です。

優良でない農地はそこまで守る必要はありませんが)

に対して、将来宅地化することが目的だ、

と言い出したのです。

 

市の担当者も呆れ顔です。

そんな人に農地として売買を許可できる

わけがありません。

その買主は法律がおかしいだの、そんな考えだから

街は発展しないだの暴言を繰り返しだしました。

 

法律がおかしいなら国会議員に法律改正を

お願いすることが本筋です。

市町村はその法律に従って許認可を出すだけです。

 

時間の無駄ですし、そこに居れば居るほど

印象が悪くなるだけだと判断し、

早めに切り上げるように促しました。

 

宅地化することが目的なら農地法5条で

許可を得られるよう申請をすればいいのですが、

おそらくこの方はできないでしょう。

なぜならこの土地が欲しい理由は将来有望だと

思っているだけで、利用目的がないのですから。

 

病院がいいとか言っていましたが、病院を

経営するには医師資格がいります。

もちろんそんな資格をお持ちの方ではありません。

 

なおかつ、愛知県の調整区域では基本的に

都市計画法上「事業用は自己の用に供する」

という制限があるため、この人が病院を

建てて貸す、ということもできません。

 

昔は仮登記して転売するとかそういう方たちも

いたようですが、後々トラブルになっている

ケースが多いため弊社では許可見込み不確定な

契約は行っておりません。

 

仮登記が残ったままですと、実際には

売主が実際の土地所有者のままです。

しかし、何十年たっても仮登記は残り続けます。

 

営農も大変だから他の人に売却しようと

思っても仮登記が残っているとそれもできません。

いずれ相続が発生し、登記が忘れ去られたり

すると処分に困る土地となってしまいます。

 

調整区域の農地を買う場合、農地として買うなら

その人の営農実績等が精査されます。

宅地化を目的として買う場合はどういう計画なのか、

都計法などの許認可が得られる見込みがあるのか、

資金計画の精査、必要最低限の面積かなど

事細かに審査されます。

 

過去に悪いことをしてきた先達たちが

大勢いたのでしょうね。

 

いずれにしても、市街化区域以外の農地の

所有権移転は「相続」を除き厳格ですから

市町村の農業委員会事務局に事前に相談

した方が良いでしょう。

 

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