調整区域の不動産の基本
調整区域の不動産って売れるんですか?
売れないんですか?
そんなお問合せを弊社ではよくお受けします。
答は「内容による」というものです。
(この記事は愛知県を前提にしています)
市街化区域と違って調整区域は
基本的に市街化を抑制する地域ですので
住宅は「基本的に」建てられない
こととなっています。
しかし、例外もあります。
やっかいなのが例外の中に種類がいくつも
存在するというものがあります。
順を追ってお話ししますと
古い家を売りたい場合でも
1.まず、土地は自由に売買できます。
(ただし、地目が田や畑の場合は地目を
変更できる場合のみです)
しかし、その土地に住宅が建たなければ
二束三文でしか売却できません。
2.住宅が建つかどうかはその住宅が
どういう経緯で建てられたかを
調べなければ分かりません。
住宅であれば主に以下のようなものがあります。
①周辺を一体開発した住宅
②昭和45年以前から建物が存在している、
または地目が継続して宅地であるもの
③農家住宅
④分家住宅や既存権利者の住宅
①と②は再建築できる可能性が高く、
今現在更地のものを購入して住宅を
建てることができる可能性が高いです。
(絶対ではありません!要調査)
③と④は更地にしてしまうと
その土地を買っても住宅を建てることは
できません。
最近お問合せいただいた方も特定空家に
指定されるかもしれないので解体しようか
迷っているというお問合せだったのですが、
よくよく調べてみると③の農家住宅で
あることが分かりました。
この建物は解体すると買う人は住宅を
建てられないので二束三文の価値しか
ない土地になってしまいます。
しかし、③や④であってもまだ建物が
ある場合はその建物の権利を買主に
引き継ぐことによって買った人がその家に
住んだり、再建築できる可能性があります。
ただしこれには県(名古屋や岡崎など
大きな市ではその市)の許可を得る必要があり、
求められる理由もかなり厳しいものです。
基本的に相続案件では認められる可能性が
高いですが、それ以外の場合は「やむを得ない」
という事情を行政が理解してくれた時だけです。
岡崎市は15年以上適正利用された建物なら
やむを得ない理由がなくても許可しますが
岡崎市以外はそのような規定はありません。
弊社ではこのような難しい案件をいくつも
経験しております。
売却する場合は市街化区域で同程度の物件に
比べ、2割ほど安く売りに出すようにしております。
理由は買われた方が売却しようと思っても
行政に許可が得られなければ売却できないという
少し難点のある土地だからです。
しかし、ずっと住み続ける予定の方にとっては
広めの自然豊かな土地を一般的な価格より
安く購入できるというメリットがあるため、
多くの申し込みをいただくケースもあります。
(広い土地でも2宅や3宅に分割できないため)
逆に①や②は売却に県の許可は不要なため、
市街化区域に近い感覚で購入することができます。
広い土地であれば将来土地を分割して売却することも
現行の法律であれば可能です。
いずれにしても調整区域の土地の売却や購入は
調整区域のことをよく知っている不動産業者と
相談しながら決めた方がよいかと思います。