違法建築物について|不動産の予備知識

不動産業界で働き始めて10年になりますが、

何年たっても初めて知ることが日々あります。

 

中でも違反建築物というコトバがありますが、

どの法律のどの規定に違反しているのかは

調査してみないと分かりません。

 

まず、問題のある建築物は

1.既存不適格

2.違法建築物

の2つに分けられ、1の場合は

建築した当時の法令には違反していないため、

現行の法令に抵触していても違反ではありません。

 

2の違法建築物は法律に違反していますが、

一番多い建築基準法違反というものはとても

緩いものと認識されております。

 

理由は財産権との兼ね合いだとか。。

 

建築基準法に違反していても、建築中は

問題になりますが、戸建レベルなら建ってしまえば

行政も大したことは言ってきません。

 

これは不動産業に携わっていても

不思議に思えます。

 

個人的にはレオパレスがあそこまで大問題に

なったことに、少し違和感がありました。

なぜならそんな違反建築物は世にゴマンと

あるからです。

 

ただ、建築基準法違反も、危険性を

伴う場合は是正命令などもあり得ます。

 

中古住宅市場によくあるのが

建蔽率オーバーと容積率オーバーです。

 

土地の面積に対して建物の面積を

制限するルールですが、

昭和30~50年くらいの古い建物で、

下町に建っている建物なんかは

ともにオーバーだらけです(笑)

 

全て取り締まっていたらホームレスが

急増するかもしれません。

 

しかし、大きな建物になると

これらの違反は問題になることがあります。

 

その場合是正命令を受ける可能性がわずかに

ありますが、容積率オーバーは是正が比較的

容易で、1階を使わないことにすればいいという

なんとも不思議なルールがあります。

(注:行政によって判断が異なる場合があります)

 

建蔽率はそう簡単にはいかないので、是正命令を

受けると建物の一部を解体しなければいけない

ことになります。

(または隣地を買えればいいかも)

 

以上のように、違反建築物を購入する場合でも

是正ができるレベルか、できないレベルかを

見ながら購入を検討するならしたほうがいいでしょう。

 

実際には建築士にも相談したほうが無難です。

 

なお、違反建築物でもう1つよくあるのが

都市計画法違反です。

 

都市計画法違反は基本的には調整区域で

許可を受けていない人が建物を利用することですが

これも戸建住宅の場合は見逃されることが多いです。

 

でも買うことはオススメできません。

簡単に売れないですし、弊社にもよく

再建築ができないことは知っていたが

売れないなんて初めて知った、と

悔やまれている方が多いです。

 

逆に都市計画法違反が問題になるケースは

・戸建を他人に貸した

・建物を住居以外に利用した

この2つが多いです。

他人に貸すことは事業なので、事業者には

行政は厳しいです。タレコミがあれば

注意や是正命令を受ける可能性があります。

 

もう1つの建物を住居以外に利用するケースですが、

塗装業を始めたり、板金を始めたりすると

臭かったりうるさかったりするので、近所から

苦情が市に寄せられやすいです。

そうすると、市も是正を求めますので

最悪事業をそこでは継続できなくなります。

【参考】横浜市の事例

 

都市計画法違反の物件も是正ができるかどうかを

あらかじめ調査しておいてから是正できるなら

検討してもいいかもしれませんが、

都市計画法の運用は建築基準法と違い、

10年くらいのスパンで色々変更になったりするので

少しリスクが高いです。

 

違反建築物は無知のまま購入することは避け、

理解した上でそのリスクと価格を見ながら

そしてプロ(建築士や不動産業者)に相談しながら

検討することをお勧めします。