根深い空家問題
住居の空家問題を大きく分けると
空家には賃貸アパートの空室と、
誰も住んでいない一戸建があります。
今回は誰も住んでいない一戸建てについて
お話しします。
空家問題といってもその理由は様々です。
どんな理由で空家ができるのでしょうか?
大きく分けるとこんな感じです。
①所有者の問題
②法律の問題
③不動産屋の問題
①不動産仲介業に携わってみて僕を含めて
多くの営業マンが感じるのは、
空家や空き地ってなんでこんなに放置
されているんだろう、という素朴な疑問です。
ボロい家や空き地が放置されている8~9割の
理由は所有者が何もしないことです。
特に理由もなく売らず、貸さず放置
している所有者はとても多いです。
思い出が残っているかという理由や、
お金に困ってないから・・という羨ましい
理由もよく聞きます。
人間の本能として現状を変更するというのは
あまり心地よいものではないのかもしれません。
放置の程度は所有者によりけりですが、
あまりにひどく崩れそうな空家の場合は
近隣からの苦情を受けて行政が強制力を
持って建物を解体する場合があります。
たまにニュースでもやっていますが本当に
ひどい場合だけですね。行政も大変なので
目に余る場合のみ、というのが実情のようです。
②法律の問題というのは、
調整区域の場合です。
調整区域では基本的に建築を抑制するエリアという
建前です。そんな場合でも分家住宅といって
昔からその土地を代々受け継いできた人の家族が
新居を構えたい、という時には許可が出やすいです。
しかし、この分家住宅は特例であり、
その受け継いできた人だけに与えられた特権なので、
売却が簡単にできません。
愛知県でいうところの開発審査会基準16号
(一部の市は別の基準)の「やむを得ない事情」
を満たした場合のみ売却ができます。
全部は書きませんがザックリいうと、
1.世帯主が死亡、重度障害、失踪した場合で
経済的に居住が困難な場合。
2.10年以上適正に利用し転職退職、家族構成の変更
または健康上の理由で利用ができなくなった場合
です。
以前県と同じ基準を利用している一宮市で
離婚を理由に売却できないか相談に行ったところ、
10年以上適正に利用していないため不許可となりました。
では、この空家はどうするのでしょうか??
事実上合法的に売ることも貸すこともできません。
しかも多くの場合ローンが残っています。
法律が理由というのはこういうケースです。
今の法律ですと、ご本人がその家に戻って
10年以上住むか、競売にかけてもらうかしないと
売ろうにも売れません。
不動産業者も最近は仲介しないところも増えました。
(弊社も違法と分かっていて仲介はいたしません。)
③最後の不動産屋が理由というものですが、
宅建業法上仲介手数料に上限が決められています。
低廉空家に関しては多少規制緩和があったものの、
安い空家を仲介していると、事業として成り立たない
ため断る不動産屋が多いという事実があります。
弊社でも大きな問題で、安すぎる空家の仲介を
依頼された場合に法律通りの仲介手数料では
赤字になってしまいます。
現時点では紹介料などで多少埋め合わせを
している状態ですがそれでも赤字部門なので
継続して低廉空家の仲介を引き受け続けられるかは不透明です。
空家問題を解決するのは不動産屋としてとても気持ちが
いいことなので継続していきたいとは思っています。
最後に二ノ宮尊徳の名言で僕が好きな言葉を紹介します。
道徳なき経済は犯罪であり
経済なき道徳は寝言である